ホワン・タマリッツ師とお会いして
                
Mr.マリック    


3年に1度開かれる、マジックオリンピック(FISM)

その記念すべき北京大会で、タマリッツ師とお会いすることが出来ました。

タマリッツ師の名前が番組の台本では、タマリックになっていて笑いながら妙に親近感がわきました。

おかげで番組も楽しく作らせていただきました。


では、直接お会いして深い感銘を受けた言葉を1つでもJCSの生徒の皆さんの心に届けばと思って少し書き留めてみました。



タマリッツさんがスペインのテレビでデビューしたのは私よりも15年近く早く、1974年でした。

その当時の苦労話をしてくれました。

テレビ局に売り込みに行ったら、テレビ画面で見るマジックなんて面白くないの一言でした。

そこで、「私のはクロースアップマジックだ」と言ったら、テレビ局の人が「わかってますよナイトクラブのマジックを最前列で見るようなものでしょう?」と言ったのです。

これは見せるしかないと思って、とにかくクロースアップマジックを見せて、その違いに納得してもらいました。

それをきっかけにマジックのTVシリーズが始まりました。

この時、マジシャンが上着を着ないで出演する世界で初のカジュアルマジシャンとして登場したのです。

これには視聴者から賛否両論が起きました。

「あんな普段着でテレビに出るなんて」といった文句や

「マジックをやりながら歌ったり叫んだりして、頭がおかしいのではないか」

とか言われましたが、もう一方ではそれを喜んで私のマジックを気に入ってくれた人もいました。


私は、観客に「タマリッツってすごい」と言われることには興味がありません。

人は誰でも、ある程度のエゴを持っていて、それを満たされたいと思っているものですが、そのように褒められるのは、私にとっては3番目か4番目の優先度のものです。

私が目指すものは、観客を魅了して、夢を見ているような感じ、それがたとえ数秒間でもいいのです。
私はいつもそのゴールを目指して、マジックを磨き上げることにエネルギーを注ぎ込みます。

やり方がわからないとか、手さばきが見事だとか、私がすごい、ということを見せることには興味が湧きません。
そういうことに時間をかける気はありません。
私が特別な衣装を着ないのは、私は私のイメージを訴える必要がないからです。
人々が私をどう思うかということはどうでもよいのです。
私が考えるのは、どうやって観客の心に届き、心を動かしてもらえるかということなのです。


観客はそのようなことを、無意識のうちに感じます。
私が一生懸命不思議さを伝えようとしていることは、観客は感じてくれます。
そういった繋がりができたとき、観客の中の大人の衣が取り去られて、子供の心で喜んでもらえるのです。
そのようなことがいつもうまく行くとは限りませんが、少なくとも私は、いつもそのように感じてもらえるように努力します。


番組(「大人のソナタ」テレビ朝日系列8月16日(日)午後7:00〜7:58)を観て、もっとタマリッツさんから学びたいと思った方は、JCSが発行している「黄金の理論」の第2章に詳しく載っていますので、ぜひご購読ください。

タマリッツさんの師匠であるアスカニオさんの教えなども詳しく書かれています。


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